先月、私が普段からフェイシャルマッサージでお世話になっている整骨院のスタッフさんから職場の悩みについて相談されました。
ことの起こりは昨年の11月にさかのぼります。
15年近く勤務した整骨院が突然閉院することになった
長女を出産した後で、産後の骨盤矯正をしてもらえるところを探していたときに見つけた、自宅から自転車で10分のところにある整骨院。
院長もスタッフさんも気さくで、マッサージのもみ返しが苦手な私だけれど、その整骨院の院長の施術は、患部に触れるだけで不思議と痛みやゆがみがとれる魔法の施術でした。気に入った私は、その時から信頼の整骨院として次女や長男を出産したときや、突然のぎっくり腰が出た時にも毎回お世話になっていました。
通い続けて10年近くが経ち、昨年の1月には福袋と称して売りに出されていた整骨院オリジナルの施術ポイント3万円分がお得についた有効期限無しの10万円施術ポイントを購入したりしてました。
11月の中旬を過ぎたころ、その整骨院公式LINEから
「皆さまから支えられてまいりました当院ですが12月末日をもって閉店することを決めました。」
との案内が届いたのです。次の予約はこの案内が届いた翌々日でした。私が閉店させるワケじゃないのに気まずい思いを抱きながら行ってみると、院長もスタッフさんも普段と変わらない様子。けれど、いざフェイシャル施術のために個室に案内されると、担当スタッフさんが神妙な面持ちで私に相談してきました。
給料が2か月支払われてないの
「セルコさんて、法律事務所で働いてたよね?あのさ、実はさ給料が2か月分払われてないの。院長がこの間、閉院の案内を発表する直前まで“いまちょっと苦しいから待ってて”と言われてたんだけど、閉院のお知らせが済んだら“こうゆうことだから、ね。(未払い分を支払う余裕はないから察して)”って感じでさ。私、くやしくて情けなくて、どうやったら未払い分も残りの給料も支払ってもらえるんだろう・・・」
彼女は、15年近く整骨院を院長のそばで切り盛りしてきて、彼女の人柄に触れて私もフェイシャルを頼むようになり、毎回その時間は日頃の疲れをリセットできる楽しくて貴重なひとときだったため、その彼女をこんな気持ちにさせた院長に強い反感が芽生えました。
個室と言えども、すぐそばには院長もいるわけで、相談の続きはLINEでやりとりすることになりました。
個人経営だし、パートだったから…
スタッフさんは、勤め始めはパートで2年前ぐらいからフルタイムのスタッフとして働くようになったそうですが、雇用保険にも入れられておらず、昨年の夏に院長が慌てて雇用保険料を2年分さかのぼって払い込んだという経緯も聞きました。
個人経営のところだから、雇用保険に加入することは出来ないものだと思っていたとか。たしかに、雇用保険が適用されるかどうかなんて人事総務で働いていたり、社労士試験の勉強したりしてないと入れるものとは思わないかもしれません。
先入観があるかもしれないけど、重要な手続は職場側がやってくれると思うのが一般的ではないでしょうか?
個人経営だろうと人を雇い入れていれば、失業手当(基本手当)等が出る雇用保険に入るものだけど、スタッフさんのように最初はパートで扶養内でのお仕事だったりする切り替えが上手くいかないケースもあるのでしょうね。
ともかく、院長から閉院の案内が出されているわけですから、スタッフさんは年内に仕事を失ってしまうことが確定しています。給料未払い分のほかにも前年度の源泉徴収票も貰えてない状態でもありました。施術の腕がいい院長でしたが、まさか内情はこんなことになっているとは。
1秒でも早く公的なところへ相談へ行きましょう
給料未払い→すぐに弁護士と思い浮かべる人も最近では多くなってきたようですが、弁護士に頼むとか相談するというのは中々ハードルが高い気がしませんか?私は今でこそ長年法律事務所で働いてきたので、敷居の高さは感じなくなりましたが、そんな環境じゃなかったとしたら、弁護士に頼まなきゃいけないような事態に陥った自分にショックを受けてしまい、どん底に突き落とされた気分になってしまっただろうと思います。(ドラマの世界だし、法律事務所って)
スタッフさんも、かなり気が動転している様子が伝わってきました。とりあえず、不安を抱えているよりも今できることや、しなければならないことを一度整理して気持ちも落ち着かせる必要がありました。そのためには、もう少し身近なところへ相談しに行くことをオススメしました。
①給料未払い問題
これは労働基準法(以下「労基法」)違反なので、労基署(労働基準監督署)の相談コーナーに行きましょう。
相談時に必要な持ち物は
・給与明細(あれば全部)
・院長と給料のことでやりとりした証拠になりそうなもの(LINEの画面とか)
雇用契約書とか労働契約書があれば、もちろん持参して(あと就業規則とか)、できるだけ書かれているものを見てもらった方がいいし、相談時に何が必要であるか労基署に直接電話して確認した方がいいでしょう。
②雇用保険の被保険者証の問題
雇用保険の被保険者証を持っていないとのことでした。(細長くてペラペラしたやつ)雇用保険に関してはハローワーク(公共職業安定所)へ相談する必要があります。スタッフさんは、失業手当を受け取ることになるので、ここはしっかりと話を聞きに行く必要があります。
③とにかく職場の問題がややこしい
私に打ち明けられなかった問題が他にもあったかもしれません。私も専門家ではないので、この先院長とどうやって話合いを本人が進めて行けばいいかとか、前年度の源泉徴票を受け取れていないこととか(これは税務署関連)、いろんな問題が起きているとなるとあっちこっちへ行かなきゃいけなくなります。そんな時は、お近くの労働局へ相談に行くのがベストでしょう。(「総合労働相談コーナー」で検索すると近所の相談コーナーを探せます)
その後のスタッフさん
私からアドバイスを受けたスタッフさんは、その次の日がお休みだったということもあり、早速半日かけて三箇所(労基署、ハロワ、労働相談コーナー)を回ってきたようで、「三箇所でいろいろ聞けて参考になりました。疲れたけど 笑」との返信があり、果敢にも相談回りをした翌日には、他のスタッフと一緒にアドバイスを受けてきたことを元に、未払いだった給料について院長に念書を書いてもらったとのこと。
後日無事に給料そのものを受け取ることが出来たそうです。自力で勝ち取ったスタッフさんの行動力にはアッパレでした。
今回の相談を受けて、私も労基署やハロワのHPを閲覧してみましたが、まぁわかりにくい(苦笑)。助けが必要な人への配慮がまわりくどい作り方になっていて、もったいない。。。それでも、インターネットが普及しているおかげで情報が集めやすくなったのはありがたいことです。
職場がらみの法律相談を見聞きしていると、職場側(会社・個人事業主etc…)が労働者のためである法律を都合のいいように解釈しているケースが沢山あるので、自分の職場がどれだけルールに従って経営しているかどうか、問題が起こる前に慎重にリサーチしておくのも「保険」になるかもしれませんね。
スタッフさんには、次の転職先を探すときには「社会保険完備のところ」をオススメしました。
※社会保険完備とは厚生年金・健康保険・雇用保険・労災保険があるところ