書類整理をしながら得た小さな気づきとコツ

近頃、毎日のように家でも職場でもキャビネットや引き出しの中にある沢山の書類を着々と処分しています。三日坊主にならず、習慣にするべくコツコツ1枚でも多く処分し続けていますが、それでも片付けたい気持ちと見なかったことにしたい気持ちが交互に芽生えてきます。世の中「ペーパレスにしたいの?したくないの?」と首をかしげてしまいたくなる時をやり過ごしながらも、書類整理をしながら得た小さな気づきとコツを書き留めてみたいと思います。

書類の整理で捨てる!捨てない!捨てられない!の判断が出来ない時の心理とは?

昨日、家の棚にファイルされていた書類を片付けようとしたときに、処分するかしないかの判断をしている最中、何度も何度も芽生える気持ちがありました。それは、「不安」です。どんな書類を目にして不安に思っていたのか書き出してみると…

・子ども達が学校で検査を受けてきた各学年時の検査結果

・学校からの健康だより(良いことが書いてあったときのやつ)

・自転車保険の初回申し込み時の申請書類

・自分の過去の給与明細や賞与明細

・ショップカードを作成したときの注意事項書面

・銀行口座開設時の申し込み書面

などなど。文字にしてみると、しょーもないことに不安を覚えている気がします。

普段、法律事務所に勤務している関係で「書類と言えば証拠!」という世界で働いているせいか、どんな内容が書かれていたとしても、破棄することにその都度頭を悩ませます。予備で取ったコピーですらも処分しづらいのです。(弁護士が「もう1部同じコピー作って」と後から指示を出してくるので、予備で作っておくことがしばしば)

仕事に限ったことだけではなく家庭内でも同様です。我が家は5人家族なので、夫婦の仕事の書類や家庭内の書類、子ども達3人分の書類と夫が相続した賃貸アパート関係の書類など、とにかく日々膨大な書類が家でも積もりにつもっています。

特に最近は長男の小学校入学を期に、何枚もの書類に必要事項を書き込みつつ、進級した上二人の分に関するペーパーワークも重なり、行く行くはこの書類を整理整頓しなくてはいけないのかと憂鬱になりました。

書類の整理がキライと言ったところで、翌日にそれらの書類が丸ごと消えていたら嬉しいどころか怖いのですけれど。そうは言っていても、さっさと書類を処分して私は「時の運気を呼び込みたい!」その一心でイヤイヤながらも着手しました。

そうです。イヤなんです。不安の他にも「嫌々」やらなきゃいけないという気分が先行しているのです。「書類を処分することへの嫌悪感」が、和らぐ策をまず考えなくてはなりません。

書類の処分を怠り続けた人の末路…

話はちょっと逸れます。大正生まれの私の父は数年前に亡くなりましたが、私の物心がついた時から父は常に書類の整理整頓を心がけていたので、あらゆる書類が几帳面に家の中のキャビネット内に収められていました。インデックスをつけてファイリングされていたので、書類が見つからなくて困ることはなく、細かくファイリングしてあったがために探す時間は少々かかるものの、それでも必ず探し当てられたほどでした。

そして、以前ご一緒させて頂いていたベテラン弁護士は80代以降も現役を続けられ、定年がない職業なだけに、退任するのはきっと天寿を全うした時であろうと誰もが思っていましたが、数年前に体調を崩され現在は自宅療養中ですが、こちらの弁護士も書類整理にこだわりがあり、何十年も前の事件の記録もすぐに取り出せるスキルに長けていました。この方も昭和一桁のお生まれで、それはそれは几帳面に書類を保管されていました。

生まれた時代も似たような二人でしたが、書類整理のこだわり方も似ていて、書類の綴じ方や保存方法に独自のルールを設けていました。弁護士という職業柄、書類の量と重要度は私の父の比ではなく、壁面の作り付けキャビネットの上から下、さらにはデスク周りまでギッシリと書類の入った茶封筒がうずたかく積まれ、書類の保管用に事務所近くのマンションの一室(住居ではない)を賃貸していたほど。

とにかく、二人に共通していたのは「処分をしない」ということです。勝手にFAXで送られてきた広告ですらも、とってありました。整理整頓は出来ても、捨てることをせず処分を怠り続けた結果…

父の遺品となった書類は、亡くなって数年経つ今も同居していた兄が捨て続けています。戸建てで収納スペースもある分、どれだけ捨てても減らないとウンザリしています。ベテラン弁護士は体調を崩して以降引退しましたが、事務所に放置された書類はご家族が業者を頼んで全て自宅へ運び込んでいました。大きさ140㎝の段ボールがゆうに100箱以上はあったでしょうか。運賃だけでなく、このあとは運び入れた書類のほとんどを溶解処理しなくてはならないでしょうから、どれだけコストがかかるのやら。

以前は庭先で焼却していたようですが、現在では私有地内とは言え簡単にモノを燃やすことも出来ず、個人情報の集大成のような書類をご家族が1つずつ溶解処理のために、また業者の手配をしなくてはならないとなると、お気の毒でなりません。

書類の処分の習慣は将来の資産になる

先人の知恵は後に続く若者への貴重な教えとなるのが世の常です。私は、老いた二人の先人が残した負の財産とも言うべき未処分の書類を見て、今日の1枚が未来の1箱になったら、残された家族の時間やお金という大切な財産がムダになってしまうと痛感しました。

「時の運」を呼び込みたいが為に書類を減らしたつもりでいましたが、油断すればすぐに日々の生活の中で書類が溜まっていきます。けれど、二人の老人たちが残していった書類の処分に家族の貴重な時間やお金が奪われてしまうことを考えると、早いうちから書類を処分する習慣を身につけておくことが、ムダな出費をくいとめることにつながるのであれば、その習慣は将来の資産になるとも言えるでしょう。お金を残すことだけが相続ではないことを、書類を捨てながら実感した私です。

書類を処分することへの嫌悪感…それは「今日の1枚は未来の1箱になる」という戒めを手にしたことで、私としては少し和らぎました。たった1枚を処分するだけでいい。そうすれば、2枚3枚と処分しようと手が動き始めます。1箱のルーツは1枚から!どんなに多忙でも1枚を紙ゴミとして捨てることは出来ます。

1枚が2枚、2枚が4枚…そして1箱2箱。明るい未来と大いなる資産のために、小さい不安はどんどん破り捨ててしまいましょう。